石塚内科クリニック さいたま市,北区,吉野町,今羽駅 内科,糖尿病・内分泌内科

糖尿病や高血圧治療に関して

高血圧

高血圧は、自覚症状がないことが多く、知らぬ間に臓器障害を進行させます。サイレントキラー(沈黙の殺人者)と言われます。心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈(心房細動)、脳梗塞、脳出血、認知症、腎硬化症、慢性腎臓病(CKD)、閉塞性動脈硬化症(足の血管の病気)など、全身にさまざまな合併症を引き起こす原因になります。

高血圧の診断は、勿論血圧測定によります。診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で 135/85mmHg以上を高血圧として対処します。家庭血圧計はいろいろなものがありますが、 指先や手首式で測定するものではなく、上腕式のものでの測定を推奨いたします。測定時間は起床時と就寝前にお願いしたい。まずは早期発見のために家庭での血圧測定を積極的にしていただきたいと考えます。

治療法はまず、食事や運動療法が大切です。次に、内服薬治療がありますが、多種の降圧剤がありますので、患者さんに適したものを選択し、投薬することが可能です。気になる方は、そのまま放置せずに、ご相談ください。

また最近では、高血圧患者さんの5-10%に原発性アルドステロン症というホルモンの異常、内分泌異常の病気が隠れているとの報告もあります。腎臓の上に位置する副腎という臓器に良性の腫瘍が出来て、そこから過剰に血圧を上げるホルモン(アルドステロン)が分泌されることが原因です。治療に難渋する高血圧のことが多く、まずは血液検査でホルモン値を測定していただくことでその病気を見つけ出すことが可能です。
 

糖尿病

食事や運動療法は非常に大切です。
その上で患者さんに適した治療法(さまざまな種類作用の内服薬)、場合によってはインスリン自己注射、また最近ではインクレチン製剤自己注射も使用します。

糖尿病治療の最近の考え方として、インスリン自己注射を開始して、その後も注射を一生し続けるわけではありません。その判断は専門医に任せていただきたいのですが、血糖コントロール不良の時期は注射を使用し、安定して患者さんの膵臓のインスリン分泌能が回復してきたら内服薬への変更も可能になる場合もあります。また、自己注射だけの治療をしているかたは注射だけで治療をする、内服薬の治療をしているかたは内服薬だけで治療するということでもありません。両者の併用をすることが多々あります。

糖尿病の治療の目的は、良い血糖コントロールを目指し(HbA1c 7.0%未満)、合併症(神経障害、網膜症、腎症など)を来さないことであります。

また、自己注射をしているかたには血糖自己測定といいまして、自宅でも簡単に血糖値をチェックできる機器をお貸しし、実際に次の外来受診日までに自宅で毎日測定していただき、記録したノートを持ってきていただきます。その結果をもとに治療法を検討修正し、指導をいたします。 

インスリン注射部位の皮膚病変(インスリンボール)

インスリンの注射手技の中で、注射部位を変えずに注射することで、皮膚に変化が起こりインスリンの効果が十分に得られずに、血糖コントロールが不良になる場合があります。

同一部位に繰り返し注射をすることで、インスリン・リポハイパートロフィーと呼ばれる皮下の脂肪が肥大してしまうことがあります。リポハイパートロフィーは1 型糖尿病患者さんの約30%に、インスリンを使用している2 型糖尿病患者さんの約5%に認められるとの報告もあります。インスリン自体がボールの様な硬い皮下腫瘤を形成していることからインスリンボールとも言われます。

腫瘤部(インスリンボール)への注射でインスリンの効果が顕著に減少します。注射部位を毎回変えていると話す患者さんの中には、左右交互に同一部位に注射しているケースもあります。同一部位に打たないよう、少しずつずらして違う場所に注射を打つことが大切です。

また腫瘤を確認した場合は、必ず医師に伝えてインスリン量の調整をしてもらいましょう。急に注射部位を変えて注射することで、効果が強く発現し低血糖を引き起こしかねません。インスリンボールにより血糖コントロールが不良になっている症例では、期待する効果が得られないためインスリンの量が多く指示されていることがあります。