慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)
糖尿病や高血圧などの生活習慣病は自覚症状がありません。最近、生活習慣病のひとつとして慢性腎臓病(CKD)という疾患がクローズアップされています。
慢性腎臓病(CKD)も自覚症状はなく、尿検査(尿タンパク、尿中アルブミン)や血液検査(血清クレアチニン値を年齢、性別により補正してeGFRとして算出)で診断されます。
慢性腎臓病(CKD)の原因もさまざまですが、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群、肥満症、高尿酸血症(痛風)などの生活習慣病がCKDの原因にもなっております。その原因に対する治療を行うことで、CKDの悪化進行を食い止めることが可能となります。 禁煙して塩分摂取を1日6g未満に、お酒は1日1合に抑えていただきたい。1日30分程度早歩きするなど有酸素運動も有効です。
糖尿病と同じく、CKDも早期発見から早期治療に結びつけることが大切です。糖尿病であれば、自覚症状がないからといって放置しておくと、合併症(神経障害、網膜症、腎症)が出現し、そうなると元に戻ることは困難を極めます。CKDも同様で、放置して悪化したときにはすでに遅く、自分の壊れてしまった腎臓の代わりを、血液透析という機械による治療でしか手立てがない状況になってしまいます。
ぜひ、慢性腎臓病(CKD)という病気を理解していただきたいと思います。
尿中アルブミン(微量アルブミン尿)
糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症やCKDの診断基準である微量アルブミン尿は、腎臓の中の微細な血管が障害されて、血液中のタンパクの1種であるアルブミンが尿中に漏れ出たものを言います。その原因は上記に述べたように、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などの動脈硬化を来す疾患群により引き起こされます。そのため、微量アルブミン尿は腎臓だけでなく全身の動脈硬化の早期の指標でもあります。血液検査だけでなく尿検査も非常に大切である所以でもあります。
IgA腎症
治療が難しい腎臓病にIgA腎症があります。この病気はIgAと呼ばれる特殊なたんぱく質が、血液中の老廃物を濾過している腎臓の糸球体に沈着し、炎症を起こします。約3万3000人の患者がいるとされ、人工透析になってしまうこともあります。健診などで蛋白尿と血尿を指摘された人は注意が必要です。
IgA腎症の発病には、免疫異常が関係していると見られ、扁桃摘出・ステロイドパルス療法という治療法が根治につながる可能性があります。喉の両側にある免疫機能を担う扁桃を摘出した上、ステロイド剤を投与する方法です。扁桃摘出の1週間後からステロイド剤を点滴で大量投与し、その後、ステロイド薬を服薬します。これを3週間繰り返した後、経口薬のみに切り替えて徐々に量を減らします。発症から3年以内に治療すれば9割近 くが改善するといわれています。